更年期とは閉経を迎える前後10年程度(一般的には45歳~55歳)を指し、更年期障害は、閉経の4~5年前から卵巣の機能低下により、卵巣ホルモンの一つであるエストロゲンが減少することによって自律神経系の交感神経と副交感神経の調節に異常をきたし、さまざまな身体的・精神的変調を引き起こすものです。更年期にあたる女性の2~3割がかかるといわれています。
定性的な診断基準はなく、以前は自身の症状を点数化した クッパーマン更年期指数を用いておりましたが、現在ではあまり使用されなくなっております。日本では、日本産科婦人科学会が21項目の質問にYES/NOで返答する簡便な評価表を作成しており、血清FSH濃度や血清エストラジオール(E2)濃度の測定も診断の補助になります。
上記のようなのぼせ、顔のほてりなどの症状はホルモン療法により改善が見られますが、婦人科系がんや脳・心血管系疾患のリスクが上がることがありますので婦人科専門医の指導が必要となります。不眠、不安、うつ症状などの精神症状はホルモン療法で軽快することは少なく、女性ホルモンの減少によって異常をきたした自律神経を正常な状態に戻すために、主に漢方薬を用い、場合によっては睡眠薬や抗不安薬、抗うつ薬を併用して治療を行っていきます。
診断、治療(特にホルモン療法)とも婦人科専門医との連携のもとに行う必要があります。 生活リズムの乱れが更年期障害を悪化させる原因の一つとなりますので、睡眠不足、過度な飲酒、喫煙などは避け、適度な運動とストレス発散、食生活の改善をこころがけましょう。