- 平成24年5月より当クリニック内にてうつ病専門施設、リワーク(復職支援)プログラムを開設いたしました。
うつ病で休職を余儀なくされている方で、心療内科・精神科の病院、クリニックでの治療により病状が回復基調にあり復職可能の診断がでた方でも、実際の職場で仕事ができる状態とは大きな隔たりがある場合が多々見受けられます。例えば、復職したが朝が起き辛くて遅刻、欠勤をしてしまう、仕事のペースについていけない、対人関係がうまくいかない、などの理由でうつ病が再燃し再休職をするケースがよく見けられます。
このように、診察室の中だけの判断にたよるのではなく、実際に休職中に自宅から通勤して、模擬的な職場で仕事をするシュミレーションがリワークプログラムです。
職場場面を再現するようなプログラムを行い、職場復帰のための技術面の向上だけではなく、集団でプログラムに参加することによりコミュニケーションスキルの上達、対人関係の再構築、自己の洞察が深まるなど認知の修正を行うことにより職場への適応能力を高めていきます。
- 対象となる方は、現在うつ病にて休職中だが体調は回復傾向にあり、職場復帰を目指しており、週に3~4回クリニックに通院できる方です。
- 当クリニックは心療内科・精神科専門医療機関として、診療とリワークプログラムを同時に行える特色があります。専門的なトレーニングを積んだ医師、臨床心理士、精神保健福祉士、看護師がチームとしてサポートし、企業の産業医や人事担当者とも連携しながら職場復帰だけではなく就労の定着を目指します。
ご希望の方は、お気軽にはお問い合わせください。
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職場復帰に向けて、以下の点について、プログラムの中で準備していきます。
- ①生活リズムの構築と基礎体力の向上
- 休職中は生活がどうしても不規則になり、朝に起きることが出来ず、昼間も横になって過ごすことが多くなり、昼夜逆転をするケースも見受けられます。同時に運動不足となり、全般的に基礎体力が低下します。
- リワーク・プログラムに参加することで、生活リズムの改善と安定を図ることができ、歩く、電車やバスに乗る、などの通勤と同様の活動をすることにより自然と基礎体力が回復します。
- ②集中力、持続力、正確性の向上
- 無理なく適切なペース配分で疲労を溜めない仕事の進め方を学びます。
- パソコン、事務作業などのオフィスワークを通じて、集中力や正確性を高める訓練を行います。
- ③コミュニケーションスキルの習得、ストレス対処法
- リワークプログラムは集団での活動ですので、そこには他の参加者とのコミュニケーションが必要となります。スタッフや参加者とコミュニケーションをとることで、客観的に自分を見つめ直すことができます(自己洞察)。
- このコミュニケーションを通じて、辛い時期を乗り越え、お互いを理解し合う姿勢が生まれますので、職場における適切な人間関係を築く基礎が作ることができます。
- 職場で求められるバランスのとれたコミュニケーションスキルを習得し、認知行動療法など、現実的なストレスコーピング(対処法)を学びます。
- 医療機関でのリワークプログラム
当クリニックは心療内科・精神科専門医療機関ですので、診療とリワークプログラムを同時に行える特色があります。病状のみならず復職準備に対して、より的確な参加者の評価を行うことができます。
- クリニックの立地と院内設備
当クリニックは福島区に位置し、西日本を代表するオフィス街である梅田・本町などからのアクセスが良好です(阪神電鉄
野田駅、JR東西線 海老江駅、大阪メトロ千日前線
野田阪神駅)。勤務先がこのエリアにある患者様も多く、当クリニックのリワークへの参加が模擬的な通勤訓練となります。リワーク施設はオフィスを想定した構造となっており、インターネット環境を整備し、パソコンを利用できる状態にしています。
- 経験豊富なスタッフ
院長は、精神保健指定医、日本精神神経学会専門医・指導医や日本医師会認定産業医として豊富な経験があります。
またプログラムは精神科臨床経験や専門的なトレーニングを積んだ、臨床心理士、精神保健福祉士、看護師がチームとして担当します。また、当クリニックのリワークは臨床心理士がメインとなって行います。このことにより、ジョブトレーニングだけではなく、心理的療法的な介入を積極的に行い、うつ病の再発を予防できるよう(うつ病になりやすい人には、特徴的な思考のパターンや行動があります)、認知行動療法に重点を置いたプログラムを行います。
- 多彩なプログラム内容
リワーク参加開始時点から復職直前まで、参加者の回復度合いに合わせた多彩なプログラムを用意しております。復職に必要な負荷を徐々に増やしながら、個々の課題や目標などを設定、確認し、復職に到達できるよう支援いたします。
- 復職準備評価シートを用いた評価
復職できるかどうかを客観的に判定する工夫をしており、東京を中心としたリワークプログラムで用いられている標準的評価シートを用いて、プログラム参加者の復職可能判定を行います。
- 個別支援
個々のプログラム参加者ごとに、担当の臨床心理士により月に数回の個別面談を行い、復職に向けた各人の行程を一緒に考えていきます。
- 産業医・人事担当者との連携
プログラム参加者の所属先である会社側と協力しながら復職をサポートします。参加者の同意があれば、所属先の産業医や人事担当の方とのコンタクトをもち、状態評価などの情報を共有することにより、復職準備段階での職場、環境面での配慮を事前に行うなど復職をスムーズに行えるようにします。
- 復職前後のフォロー
復職後も、夜間に行うフォローアップセミナーに参加いただけるなど、定期的な通院を通じて就労の定着に支援いたします。
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- 下記の2つの段階に分け、それぞれの目的のもとに参加・活動していただきます。
計2カ月から3カ月を予定しております。
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- 心理教育
集団認知行動療法(CBT):
復職や復職後の再発予防に向けて、今までの自分の考え方(認知)や行動のパターンを課題として取り上げ、抑うつ症状を生み出すような思考(自動思考)や行動のクセを見つめなおす集団療法です。主に、考え方や行動を柔軟で多様なものにし、症状をセルフコントロールできるようします。
セルフマネジメント:
自身の病気や薬についての理解を深め、体調が自己管理できるような訓練を行います。具体的には、対人関係を円滑にし、ストレスを溜めすぎず適切に自己表現ができるアサーションなどの技法を応用した訓練を行います。
自己洞察:
抑うつ気分を起こしやすい自身の考え方やコミュニケーションなど自己の特徴について理解を深めることにより、客観的に自分自身を洞察(内省)できるようにし、職場に再適応できるよう自身の思考やコミュニケーションを修正するようにします。
ソーシャルスキルトレーニング(社会技能訓練):
職場や日常生活の場面において、今までに人と接して不安や困惑した場面を取り上げます。そして、ディスカッションや実際にロールプレイをしながら対処法を身につけ、自分の生活に取り込んでいくことを目的とします。
リラクゼーショントレーニング:
リワーク室内で自律訓練療法や腹式呼吸、ストレッチなど心と体の緊張をとる方法を学びます。これらは入眠がスムーズになる、睡眠が深くなるなどの効果があります。
- ジョブトレーニング
オフィスワーク:
パソコンでの文書作成や業務に関連する書籍などから資料を作成する訓練を行います。また、新聞の社説の読み込みや要約を行い、知的作業能力の回復や集中力の向上を目指します。
グループワーク:
コミュニケーション能力の向上を目指し、ロールプレイング(役割設定)を行います。模擬的な職場を想定し、グループでの課題に取り組み、他の参加者と協調して資料作成やプレゼンテーションやディベートを行います。
個人ワーク:
履歴書、職務経歴書などの作成、休職に至った経緯の振り返りなどを行います。また、各自の資格(TOEICなど)の勉強など個人の課題にじっくり取り組みます。
自分で計画を立て実行、計画通りに遂行できているのかを評価します。
- その他
状況に応じた課題を設定し、上記以外のプログラムも用意いたします。
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当クリニックに通院中の方が対象となります。まずは、当クリニックに受診いただき、その後医師にご相談ください。
- ①当院初診:当日は以下の書類をお持ちください。
- 健康保険証
- (お持ちであれば)かかりつけ医療機関や産業医からの診療情報提供書
- ②受入判定
- 診察や心理検査の結果、診断名、病状などを検討し、リワークプログラムに適しているかどうかの判断をいたします。
- リワークプログラム参加に対し病状が安定してないと判断された場合には、病状が回復するまで外来通院をおすすめする場合があります。
- ③うつ病リワークプログラム開始
- 当クリニックのリワークプログラムにご参加いただきます。週3日からスタートし、週4日へと徐々にステップアップし、正式な復職復帰を目指します。
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- リワークプログラムは健康保険の適応となっております。
- 自立支援医療制度を利用している方はその適用になります。制度利用のご希望の方は受診時に医師にご相談ください。(別途申請が必要です)